2021年08月04日

能動性を取り戻せ!





「魂飛ばし」が能動性を取り戻すまで


その子はおばあちゃんと同居しており、孫を大層可愛がったという。ただ、その世話の焼き方は過剰と言えるもので、ご飯はおばあちゃんが口まで持って行き、着替えはおばあちゃんが手伝い。

その結果、五歳になっても自分で着替えさせてもらえず、食事も自分でやらせてもらえないまま、全部おばあちゃんが世話していたという。
ああ。「おばあちゃん子は三文安い」という言葉があるけれど、その典型例だった。おばあちゃんがすべて先回りしてお膳立てするものだから、魂が遊びに出かけるように。

魂飛ばしをしている限り、学習は全く進まない。空想の世界で生きているのだから。本人としては、すべておばあちゃんの言うとおりにしないといけなかったので、せめて魂を飛ばして自分の好きなことを想像して時間を潰すより仕方なかったのだろう。それが癖になり、高校生にまでなってしまった。


魂飛ばしが収まってくると、今度は高校生にもなって分数ができない自分のふがいなさに泣いた。けれどこれは驚くべき進歩。悔しがるのは、分数を理解しようと、能動性を取り戻した証拠。


この子の事例は、いくつものことを教えてもらうことになった。この子の場合、「教える」という行為はムダだった。教える最中にも魂はお出かけしてしまうのだから。自ら学びに行く能動性を取り戻さない限り、学習が成立しなかった。そして、能動性さえ取り戻したら、教えなくても勝手に学んだ。


・どこからつまづき始めたのか分析すること。
・つまづく前に戻り、少し背伸びすればできそうな課題を与えること。
・後は能動的に学ぶ姿勢だけ取り戻せるよう、アシストすること。この子の場合は、机を叩き、大声でビックリさせて「魂召喚」することだった。
以上のことだけやったら、勝手に伸びた。

この子事例もそうだったけど、自ら学ぶ能動性さえ取り戻せば、大人の予想をはるかに超えた学習スピードを示す。途中、つまづくことがあっても、泣いて悔しがり、なんとか克服したいと願い、そして本当に突破してしまう。能動性。それさえ取り戻せれば、子どもは劇的に変わる



maruhashikouta at 20:13│Comments(0) 教育 | 指導

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